未だに、認知症を「単純に物忘れが酷くなるだけの病気」と思ってる人が一定数いることに驚きます。
そう考える方は「少し物忘れが酷くなったからといって日常生活に大きな支障なんてないでしょ?」と考えがちなのですが、正しく理解しておかないと悲惨な老後を迎える可能性があるので要注意です。
今回は、認知症に伴うリスクと取っておいてほしい対策について解説します。
認知症とは?
認知症とは
「認知症」とは、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。
認知症にもいろんなタイプがあり、物忘れ以外にも沢山の症状が見られるのが特徴です。
【認知症で見られる症状】
- 記憶障害:物忘れ
- 失語:音として聞こえていても話を理解できない、物の名前がわからなくなる
- 失認:ちゃんと見えていても形として把握しにくくなる
- 失行:今までできていた動作ができなくなる
- 行動障害:同じ行動パターンを繰り返したり、周囲の刺激に反応するような行動が目立つようになる
認知症の怖いところは何かを忘れることそのものではなく、認知力が低下するトコロだと思っています。
例えば、赤信号を目で見ていても、道路を歩いてはいけない事が分からなくなります。数十年慣れ親しんだ近所の路でも、今自分がどこにいるのかや、車道や歩道が何なのかすら分からなくなります。知らないひとから書類に印鑑押してと言われても、押してはいけない理由が分からなくなります。
認知症は、今“普通”とか”常識”と思っていることが理解できなくなるので、十分なお金が手元にあっても正しく使うことすら出来なくなる怖さを孕んでいます。
物忘れ以外の認知症のリスク
認知症になると、銀行口座や契約といった社会全体のサービスに大きな影響が及びます。
ごく個人的な狭い範囲での不便さと比べ、自分一人ではどうすることもできないことなので、事前の備えがとても重要になります。
リスク1.口座凍結
認知症であることが金融機関に知れると、口座が凍結されます。
口座凍結は本人の財産を守るための措置ですが、一度凍結されると本人であっても預金を引き出すことができなくなります。
家族なら口座から預金を引き出せるのは?と考える人も多いですが、認知症に伴う口座凍結の場合、たとえ家族であっても自由に預金を引き出すことは不可能です。
認知症による口座凍結はとても強力で、後述する後見人にしか預金を引き出すことができなくなります。
リスク2.契約無効
認知症になると、契約に関することが法律で制限されます。
新規の契約は結べなくなりますし、解約や変更などの手続きも出来なくなります。
新規契約は致し方ないとしても、既に申込済みサービスの変更や解約が出来ないのはとても困ることです。
例えば認知症になって施設に転居するとなった場合、それまでに結んでいた定期サービスなどを解約するのは簡単には出来ません。
サービスによっては委任できるものもありますが、後見人でしか対応できないものもあります。
リスク3.詐欺被害
年齢を重ねると、誰しも判断力の低下が顕著となります。
判断力の低下に伴って巻き込まれる可能性が高くなるのが、特殊詐欺です。
事実、特殊詐欺被害の80%以上が高齢者と言われています。
被害にあう高齢者が認知症を患っている場合、被害の程度がいっそう深刻になる危険性が高まります。
認知症になった後に結んだ契約は無効にできますが、一度お金を渡してしまうと戻ってくる可能性はとても低くなるため、早めに財産資産等委任契約などで対策しておくことも検討しましょう。
たった一度の詐欺被害でも、老後の貯蓄には深刻な影響を与えかねません。
後見人の役割
後見人の役割
認知症に伴う口座凍結や手続きにも絶対的な効力を持つのが後見人です。
後見人の主な役割は、財産管理と身上監護です。
後見人は、ご本人の不動産や預貯金等の財産を本人に代わって管理したり、ご本人の希望や身体の状態、生活の様子等を考慮して、必要な福祉サービスや医療が受けられるよう、利用契約の締結や医療費の支払などを行ったりします。
後見人の注意点
後見人では出来ない事
後見人は一見万能そうに見えますが、以下の事は出来ません。
【後見人にはできないこと】
- 医療的な同意(臓器提供や延命措置のお願いなど)
- 介護などの事実行為
- 養子縁組
- 結婚・離婚
- 死後事務
- 葬儀・納骨
もしもの時の医療方針に希望がある方は、別途同意書を作成しておくのは有効です。
財産や権利についての希望がある方は、法的効力のある遺言書などを作成しておくことも重要です。
また、後見人は生前の生活をサポートが目的なので、死後のサポートは後見人の義務から外れることも留意しておきましょう。
なお、後見人は認知症前なら家族でも友人でも任意に選出できますが、認知症発症後では任意に選ぶことはできなくなります。
認知症発症後に選出される法定後見人は、家族以外の弁護士・会計士などといった専門家が選ばれることが多く、後見人費用が高額(2万~6万/月)になったり、専任されるまでに1~2か月程度の時間(最長で4ヶ月)がかかる場合がある点もぜひ知っておいてほしいです。
経費の面からも、後見人の選出は、認知症になる前に自分の意思で決めておくことがおすすめです。
まとめ
認知症になると、本人の狭い範囲がすこし不便になる程度の軽いものではなく、当たり前に使えていた社会のサービスが自分の自由意志では利用できなくなる怖さがあります。
例えば、口座凍結や契約の解除や変更ができなくなること…等です。
一度閉ざされたサービスは、家族であっても解除することは難しくなります。
どうしようもない場合は、2万~6万/月程度の報酬を払って法定後見人を家庭裁判所に選出してもらい、預金を引き出したり、契約の手続きを代行してもらうしか対応のしようがなくなります。
なお、後見人は認知症になった後では自由に選ぶことはできないので、判断力が十分なうちに信頼できる方を選出しておくのが理想です。
また、後見人にも出来ない事はあるので、医療に希望がある方は医療的な同意書の作成を行ったり、財産や権利に希望があるかたは、公正証書遺言書などの作成も検討しましょう。
認知症になったときの備えや後見人の相談など、ご不明なことがあればぜひお気軽にシニア身元保証協会までご相談ください。
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